マーケットの仕入れ人≪カンヌ映画祭にて≫

紺碧の海にサンサンと輝く太陽。浜辺にはトップレスの美女たち。

洋上のヨットではスターたちを交えた大パーティー。

そんなゴージャスなムードの中で、映画の売り買い商売が行われている。

 
街中の何十軒とある映画館では買い主たちが自分の作った映画を上映し、

バイヤー(買い手)たちは山ほどのパンフレットを持ち、新鮮でうまい魚、

じゃない、映画はないかと見て回る。

実は冒頭でのべたホーガンの映画はスーパーマンが見つけてきた作品だ

(面白いゾ!と今から宣伝しとこう)。

 
もちろん、商売だけではない。

ちゃんとしたコンペティションがあって、グランプリの受賞などもある。
コンペ参加作の上映は海辺のメイン・ホールにて。

夜の上映の時は、男性は全員タキシード着用。

スーパーマンも慣れないタキシードに蝶ネクタイなどしめ、

真っ赤なジュウタンを敷いた階段をカメラのフラッシュを浴びながら上がっていった

(もっとも、カメラはおのぼりさん観光客がやたらパチパチ写してただけ)。
  

さて、こんな所で買ってきた映画はフィルムをそのまま手に下げて日本に持ち帰るわけではない。
商談だけをまずまとめて、あとは日本へ戻ってから、いろいろと手続きをする。

やがてフィルムが送られてくる。

通関をし、字幕を入れ、それから興行主(映画館のオーナーたち)に見せる。ここがポイントだ。

   

本文は菊地浩司が20数年前に「プレイコミック」という漫画雑誌に映画翻訳家の舞台裏をコラムとして掲載していた時のものです。本文に一部適切ではない表現がございますことをご了承ください。