戦争の犠牲者たち≪軍隊用語は省略で≫

さて、本日は軍隊用語の英語レッスンだ。
軍隊は忙しいので、いろんな表現をイニシャルだけですませてしまう。

 

よくお目にかかるところでは、「ASAP」。これは“As soon as possible”。

「できるだけ早く」って意味で、中学の時、習ったでしょう。

  
「MIA」は“Missing in a action”。戦闘中の行方不明者だ。

  
「C-rats」はC級のデキの悪いネズミ、じゃなくて“Combat rations”。

戦場へ持っていく携帯食料のこと。

  
“ベトナム”は「ナム」。“最高”はNumber one、“最低”はNumber ten。

貧しいアジア人が住んでる掘立て小屋みたいな家は“フーチ”と呼ぶが、

これは日本語の「ウチ」(家)からきたみたいだ。

  
Cherryはサクランボでも処女のナニでもなく“新兵”の意味として使われる。

  
また、アチラでは本隊や部隊にニックネームがついている。

パルマの新作でも「こちらサイレント・ツイン、スーパーマン02どうぞ」とやっていた。

日本の自衛隊でも無線で「こちらかぐや姫、ネズミ小僧どうぞ」なんてやってるのかな(まさか、ね)。

  
ところで、オロンガポの町に行った時のことだが、

土地のバアさんにいきなり日本語で「バカヤロー」と言われた時は驚いた。
何だと思ったら、その昔、日本兵から唯一習った日本語なのだそうで、バアさん、

明るい顔で「こんにちは」のつもりで言ったのだ。

   
考えてみると、これも“戦争の犠牲者”なのかもしれない。

  

 

本文は菊地浩司が20数年前に「プレイコミック」という漫画雑誌に映画翻訳家の舞台裏をコラムとして掲載していた時のものです。本文に一部適切ではない表現がございますことをご了承ください。